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【交通安全ニュース】高齢歩行者との事故防止 2024/09/02 (月)

9月21日から秋の全国交通安全運動が始まり、全国の重点取り組みの一つに『歩行者の交通事故防止』があげられています。昨年は、交通事故死者数、重傷者数ともに増加しました。
死者数では、歩行中に亡くなった方が最も多く、なかでも 65歳以上の高齢者の占める割合が高くなっています。
今回は、高齢歩行者事故の特徴を考え、運転時に注意すべき点についてまとめてみました。


1.高齢者事故の件数と発生要因

◆高齢者の死亡・重傷事故の割合
図1の令和5年中の交通事故での死者数は2,678人でしたが、そのうちで65歳以上の方は1,466人、全体の54.7%を占めています。重傷者数では36.7%が65歳以上の高齢者となっており、統計からは高齢者との事故では死亡・重傷事故になりやすい傾向が読み取れます。

◆高齢歩行者との事故の特徴
65歳以上の高齢者の事故として多いのが歩行中の事故で、重傷者数の55.6%、死者数の70.6%が歩行中の事故によるものです。図2の65歳未満では、路上横臥が最も多く、横断歩道・横断歩道以外の横断中に発生した事故は41%程度ですが、65歳以上の高齢者では横断歩道以外横断中に発生した事故が50.9%と最も多く、横断歩道横断中の事故を合わせると全体の約4分の3になります。

道路横断中の事故が突出して多いのが高齢歩行者との事故の特徴です。


2.高齢歩行者の特徴

なぜ高齢者には道路横断中の事故が多いのか?
その理由を考えるには一般的な高齢者の傾向について理解しておく必要があります。

◆一般的に高齢になると運動機能が低下し、ゆっくりした歩行になることで横断に要する時間が長くかかることになります。さらに筋力の低下で前かがみ姿勢になると、視野が狭くなり、視線も足元に向きがちになって周囲の危険を発見しにくくなります。

◆視力も低下するため、動く物や遠くの物が捉えにくくなったり、明るさの変化に慣れるのに時間が掛かるようになります。ですので車両の発見が遅れたり、接近してくる車両の速さや距離がつかみにくくなったりします。

◆認知機能の低下は、同時に多方向へ注意を向けながら、新しい情報を処理、判断していくことが苦手になる傾向があります。例えば、横断をはじめると注意は足元に向けられ、途中での安全確認がおろそかになり、横断の後半では車両の接近に気付きにくくなります。


3.高齢歩行者との事故防止

運動能力や認知能力には個人差が大きくでます。運転中に高齢者など個々の能力を把握することは困難ですので、想定される最悪の状況に対処できる運転をする必要があります。

高齢者は車両に気付かず、急に横断をはじめたり、横断中に立ち止まったり、引き返したり、運転者が予測しない、思いもよらない行動をとることがあります。
また、危険を感じても急いだり、走ったりしての回避ができないこともあります。

したがって、突発的な状況に対応できる速度と距離を保持し、歩行者優先で運転するのが安全運転の要です。

また、早め点灯で高齢者に車両の接近を気付きやすくしたり、夜間はハイビームにより横断する高齢者を早く発見したりすることも安全確保に重要です。