郵便料金値上げに備える効果的な対応策 2024/07/01 (月)
1 対応が急務 2024年10月1日から郵便料金が大幅値上げ
日本郵便は2024年10月1日から郵便料金を値上げします。
封書は消費税増税に伴う料金改定を除くと30年ぶり、はがきは7年ぶりの値上げです。
業種業態によっては、自社に及ぶ影響は簡単に見過ごせないものになります。
例えば、毎月の請求書発送などで郵便を利用している場合、値上げ(改定率)だけを見ても大幅なコストアップです。
早急に対応策を検討し、実行していきましょう。
2 効果的な対応策は「郵便物を減らす」「価格転嫁する」
1)郵便物を減らす
郵便物を減らすために、自社で行っている郵送業務を洗い出し、メール添付やウェブ上のやり取りで済むものがないか改めて確認しましょう。
コロナ禍を経てペーパーレス化が進んでいるとはいえ、まだ郵送業務が残っていることが多いのが、「見積書」「注文書(発注書)」「注文請書」「納品書」「請求書」「契約書」のやり取りです。
いずれも取引相手があることで、紙から電子データへの切り替えは一足飛びには難しいかもしれませんが、今般の郵便料金の値上げは、ペーパーレス化の検討を促すのに良い機会といえるでしょう。
また、発送業務を代行するサービスとして、日本郵便では、WordファイルまたはPDFファイルをアップロードし、差出人・宛先を入力するだけで、文面印刷・宛名印刷・封入・切手貼り付け・発送を代行する「Webレター」というものがあります(1通当たり99円~)。
郵便物が減るわけではないですが、こうしたサービスの利用を検討してもよいでしょう。
2)価格転嫁する
金融機関、クレジットカード会社、携帯電話会社をはじめ、利用者に対して利用明細書を毎月発行するような会社では、数年前から、利用明細書を郵送する場合には、手数料として実費に近い金額を徴収することによって、ウェブ明細への切り替えを促しています。
こうした会社と同じようにするのは難しいかもしれませんが、相手の都合で郵送を続けざるを得ないとすれば、その分を何らかのかたちで価格に転嫁することには理があります。
取引相手との力関係にもよるためハードルが高いかもしれませんが、事情をしっかり説明し、「引き続き郵送による書面(請求書など)の受け取りを希望する場合、2024年10月以降の発行分からは、手数料として○円を申し受けます」と伝えてみてはいかがでしょうか。
3 そもそもなぜ? 郵便料金値上げの背景
郵便物の量は2001年度の262億通をピークに減り続け、2022年度は144億通にまで減少しています。
そして、2022年度、日本郵便の郵便事業は郵政民営化後、初めて営業赤字に陥りました。
郵便は、全国津々浦々、いつでも、どこでも、誰もが同じ料金で公平にサービスを受けられるユニバーサル・サービスですが、それを維持していくには相応のコストが掛かります。
簡単に言うと、そのコストを補填するのが今般の値上げです。
総務省によると、日本郵便の郵便事業は値上げによっていったんは収支が改善し、2025年度は黒字になるものの、それ以降、再び赤字に転じるとの見通しです。
そうなった場合に、さらなる値上げがないとも言い切れないでしょう。